Toshimichi Kubo

memory


本当のJAZZマンとは、彼のような人であろう
ひたすらにJAZZの道を走りつづけた努力のドラマー
マックス・ローチを尊敬し、スィングすることが全てだった
シャイな性格とは対照的にプレイは強烈な存在感で
どこまでもバンドを自由に走らせた
ありのままの自分を大切にし、コマーシャリズムを嫌ったので、
生きていたらこのページに載ることを拒否したであろう

初めて久保さんにお会いした時は、
眼光鋭くて恐そうな人だなぁと思いました
演奏は凄く自由で生きているリズムだという印象でした

ある日、「久保さんはどんなジャズが一番好きなのですか?」と、尋ねると
「コルトレーンとラシッド・アリのDUOみたいなやつ!」
と言う答えが返って来ました
私は延々と続く叫び声というイメージを抱いていたそのDUOを
「精神的なエネルギーが高まっていく宇宙のようで.......」と、
解っているようなことを言ったのですが、
その言葉が気に入ってくれたのか
久保さんはその夜、私を呑みに誘ってくださいました
しかも、久保さんの部屋で朝まで語り明かしました
それ以来、急激に親しくなり家族のようにいつも一緒にいました

久保さんが入院して手術の際
同じ血液型だった私も輸血して、
これで本当の家族になれたと思ったものです

「見栄を張る人」
「ウソをつく人」
「陰口を言う人」
「自分を売り込む事ばかり考えている人」
こんな人を久保さんは極端に嫌いました

あくまで自分の理想とする音に近づく為に
無心になれたら幸せだったのです
他人に気に入られようとか
いい格好をしようとか
全然、心の中に無かったのです

私は、久保さんのコンサートを企画したとき
ポスターのデザイナーさんに
「どんなイメージのがいいですか?」と、聞かれたので
「洞窟で一人、呪文を唱えている仙人のような………」と
答えたのですが、
そのデザイナーさんに断られてしまいました

ドラムからスタートする曲の時
演奏に入る前に数秒
テンポを設定をする為か?
曲のイメージを確認する為か?
瞑想をするようないい顔をしていました

久保さん曰く
「人は誰でも弱く、淋しいものだ」